Technical Manual
海水の予備知識
サンゴ礁の水槽を美しく保つ秘訣は自然のサンゴ礁環境と同じ物理的、科学的な水の成分を維持することです。従って海水水槽の立ち上げにおいては、人工海水の選択が最も基本的な問題となります。
海水は単に塩化ナトリウム(NaClまたは食卓塩)の水溶液ではなく、地球上に存在する文字通り全ての物質が複雑に混じり合って出来ています。最近の研究によって、海水の成分の内80種が明らかになりましたが、生きたサンゴ礁の周りの海水の組成は、場所によってわずかに異なります。これら多くの海水の成分が海洋生物に与える影響については多くのことが分かっていますが、現在の研究によってもその全ては解明されていません。特に微量成分の適切なレベルが重要だといえます。
たとえば、自然の海水に通常含まれている極微量の銅は、節足動物や軟体動物の呼吸に重要ですが、銅の量をわずかに増やすと、内部細胞環境においても同様の増加を招き、他の細胞作用物質の変性によって死に至ります。
●人工海水溶解時の推奨パラメーター * 海水魚水槽またはサンゴ水槽により異なります。
自然のリーフ環境と人工のリーフシステムでは要素の供給力に大きな差があるため、自然の海水とは異なるレベルで維持しなければならない成分もあります。
●海水の組成
海水の化学成分は一般的に「主要元素」「中間元素」そして「微量元素」という3つの分類に分けられますが、明確な定義づけはありません。
注:次の表は天然海水の成分分析に関連するもので、人工海水のものではありません。
全ての生き物は基本的な細胞レベルにおいて化学反応の複雑な連続が適切に機能することに生命活動を維持しています。これらの反応は、特定の生物学的作用物質によって統制・コントロールされ、作用物質の能力は、内部細胞の環境の性質によって決定されます。多くの海洋生物において、内部細胞の環境は、組織を包む海水の含有物によって直接決定されます。たとえば、塩分の変化はしばしば細胞の代謝の変化を招きます。さらに、海水に溶け込んだ化学物質、特に金属イオンは、細胞の機能に直接影響を与える場合があります。
適切な量の金属イオンであれば、生物学的作用物質は正しい形で適切に機能します。しかし、過度な濃度になると生物学的作用物質に影響しその構造を変化させ、組織に大きな問題を引き起こします。
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